JLPT N2 – Reading Exercise 93
日本人に、日本語で話せばわかる、通じると思うも、もしかしたら幻想かもしれない。
たとえば、「情けは人のためならず」という諺の意味。つねづね人に情けをかけ、親切にしていれば、自分のためでもあるんだよというのが今までの解釈だった。しかしこの頃は違うのだそうだ。
あんまり情けをかけると、それを当てにして怠け者になってしまう、だから情けはかけるな、ということなのだそうだ。
この解釈があながち間違っているとは言えないのが、時代性というものだ。現代は食べるに困るというような人がいなくなってしまった。どうしても助けなければならないような人がいない。居るとすれば多くはその人自身の問題。怠けて働かなかったり、選り好みをしていて仕事をしていなかったり。そんな人に情けをかけたらたしかに甘えるだけかもしれない。
言葉の意味は時代を反映する。
(沖ななも「言葉の時代性」『出版ダイジェスト』2001年11月20日号による)
情けをかける:相手のためを思って助ける
当てにする:期待する
あながち~ない:かならずしも~ない