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JLPT N1 – Reading Exercise 27
うちの犬いぬは頭あたまがよくないけれどむやみに吠ほえない。これは犬種けんしゅの性格せいかくである。もうひとつ、絶対ぜったいに嚙かみつかない。これは訓練士くんれんしに仕込しこまれた成果せいかである。大おおきな犬いぬなので幼児ようじに嚙かみついたら事件じけんになってしまう。訓練士くんれんしは二十代にじゅうだいの女性じょせいでスクーターに乗のってやってきた。訓練時間くんれんじかんは週しゅうに4回かい、各かく30分ふんである。半年はんとし近ちかく経たっても訓練くんれんが終おわらないので、いつになったら卒業そつぎょうできるんですか、と訊たずねた。家庭内かていないでの序列じょれつがはっきりしたら、と説明せつめいする。序列じょれつねえ、どういうことかな、とさらに質問しつもんすると、お宅たくの坊ぼっちゃんがまだ……。十年前じゅうねんまえなので息子むすこは小学生しょうがくせいである。体格的たいかくてきにも犬いぬと息子むすこに差さがない。うちの犬いぬはまず僕ぼく、つぎに妻つまと気きの強つよい娘むすめに降参こうさんしたのだ。だが息子むすこは軟体動物なんたいどうぶつのようにふにゃらふにゃらとしている。寝ねてばかりいる。起おきてもあくびばかりしている。両者りょうしゃは最下位さいかい争あらそいを演えんじたまま四よつに組くんで決着けっちゃくがつかないらしい。動物どうぶつは序列じょれつに敏感びんかんなのだ。(中略ちゅうりゃく)女性じょせいの訓練士くんれんしが説明せつめいした。犬いぬをかわいがっているつもりで甘あまやかし、腕うでをがぶりと嚙かみつかれた飼かい主ぬしがいた。甘あまやかせばつけ上あがるだけ、自分じぶんが主人しゅじんと信しんじ込こんで飼かい主ぬしをなめた結果けっかである。動物どうぶつはつねに威嚇いかくしながら序列じょれつを確認かくにんしているから、仲間同士なかまどうしは本気ほんきで喧嘩けんかをしない。相手あいてが強つよい、とわかれば争あらそわない。喧嘩けんかしたら互たがいに傷きずつき、厳きびしい自然界しぜんかいでは生いき残のこれないから。さすがに血ちのめぐりの悪わるいわが家やの犬いぬも、ある日ひ、息子むすこにゴツンと頭あたまを叩たたかれ、最下位さいかいが確定かくてい、平和的へいわてきに棲すみ分わけが決きまり、予算よさんオーバーの訓練くんれんは終了しゅうりょうした。動物どうぶつから教訓きょうくんを得えたわけではないが、家庭内かていないでも夕ゆうテマエとしての序列じょれつがないと混乱こんらんがはじまる。親父おやじの権威けんいの喪失そうしつが取とり返かえしのつかないところまできたのは家父長制かふちょうせいを否定ひていしすぎた結果けっかでもある。戦前せんぜんは長子相続ちょうしそうぞくで、次男じなん以下いかは相続権そうぞくけんがなく女性じょせいにいたってはその他大勢そのたおおぜいの扱あつかい、ひどいものだった。そういう状態じょうたいを復活ふっかつせよ、と述のべているのではない。職場しょくばで女性じょせいがもっと管理職かんりしょくに進出しんしゅつできる環境かんきょうは整ととのえたほうがよいし、僕ぼくの経験けいけんからして共働ともばたきには賛成さんせいである。家事かじも分担ぶんたんしたほうがよい。だが男女平等だんじょびょうどうをはきちがえてはいけない。家庭かていは動物どうぶつの巣すに似にた面めんがある。権威けんいとしての父性ふせい、包容力ほうようりょくの母性ぼせいまで削けずり取とってはいけない。父親ちちおやは筋肉質きんにくしつで髯ひげをはやし、母親ははおやには柔やわらかな肌はだとやさしい笑顔えがおがあるように、それらしく演えんじ分わけたほうがよい。頻発ひんぱつする家庭内暴力かていないぼうりょくが役割構造やくわりこうぞうの喪失そうしつと無縁むえんではないからである。(猪瀬いのせ直樹なおき「家いえ」1999年ねん9月がつ26日にち付づけ朝日新聞あさひしんぶん朝刊ちょうかんによる)