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Eコマース向けにディスカバリー(商品発見)エンジンを展開するチューリッヒ発スタートアップ、アルバトロス社は2月12日、スペインのオンラインマーケットプレイス「ワラポップ」と初の戦略的パートナーシップを締結した。
昨年末、同社はすでに約18億円の資金調達を完了している。
ワラポップとの初期テストの結果、ユーザーエンゲージメントは2倍超になったという。
詳細は以下の通り。
従来のEコマースサイトに組み込まれてきた検索・レコメンド機能は、これまで「単なる分類・抽出作業」に終始していたと言っても過言ではない。
アイテムの組み合わせを意味もなく機械的に提示するばかりで、実効性という点では心許ないアルゴリズムに頼りきっていたのである。
しかし、個人の嗜好や行動は静的に決定された過去データだけでは捉えきれず、常に変動しうる流動的な存在である。
したがって、どれだけ高精度を誇るレコメンド機能も、それが過去データのみに依拠するものである限り、限定的な価値しかもたらさないこのパラドックスをアルバトロスのケビン・カーンCEOは強く指摘する。
「エコマースで用いられる技術的手法は、この10年ほとんど進化していない。
いまの技術は過去の閲覧履歴や人気度、類似者行動を参照して推薦内容を決めているに過ぎない。
根本的な問題は、こうした戦略が過去データのみに偏重し、現時点でのユーザー意思や行動に焦点を当てていない点にある」。
したがって、買い手にも売り手にも不利益が生じる。
買い手には似たような商品しか繰り返し提示されず、例えばテーブルを購入すると延々と同系統の商品画像が並ぶ。
一方で売り手は巨大なカタログモデルゆえに商品を膨大に登録しても、実際には検索結果やレコメンド枠に表示されず、評価軸に合致しない多数の商品在庫を持て余す羽目になる。
こうした現状に対して、商品発見の機能を抜本的に見直す試みが進んでいる。
アルバトロスが開発したAIプラットフォームは、ユーザーの行動の文脈や順序を逐次学習し、動的な体験を提供することで、精緻化されたパーソナライズの範囲を拡大した。
その結果、現実の行動変容が反映されやすくなる。
「単なる計算された推薦値の更新に留まるのではなく、ユーザー自身の反応や即時の選択に基づいて、AIモデルが提示の順序や重点をリアルタイムで更新する。
より広範な候補をダイナミックに表示することで、ユーザー体験の中心を再定義しようというのが我々の理念に他ならない」。
ワラポップのロブ・キャセディCEOも、かかる新規テクノロジーを積極的に導入する意義を認めており、ユーザー体験の即時反映こそが競争優位の源になると主張する。
「リアルタイムで需要を反映できるシステムへと移行すれば、買い手は理想の商品に早く辿り着き、売り手も出品物の目立ち方を大幅に向上させられる」。
1ヶ月におよぶ実証実験を完了したワラポップは、アルバトロスエンジンの全面的採用に踏み切った。
公開された初期テストの結果、ユーザーエンゲージメントは119%、お気に入り登録やインタラクションは105%、購入意向は47%と大幅に増加した。
2024年の創業以来、アルバトロスはすでに約25億円超の資金を調達し、技術革新を推進している。
さらに22兆円規模で韓国や北米へ流れる越境商流の拡大と並行し、ワラポップが韓国最大手検索大手ネイバーに買収されたことで、アルバトロスには新たな国際化の道が開けている。
Eコマース業界に浸透するディスカバリー機能の適切性に対する懸念が高まる昨今、アルバトロスは従来型を「根本から変える」と明言する。
たとえば、2023年にマッキンゼーが行った調査では、Eコマースサイトの約5分の1に相当する割合が複雑な検索には適応できず、結果に満足できないユーザーが80%を占めた。
同様に、商品発見だけで営業利益が億単位で増えるとすれば、生成AIを活用したパーソナライゼーション・ベンダーのニーズは今後急拡大するに違いない。
アルバトロスは、自社の技術が生成AIの大規模言語モデルへの依存を避け、逐次学習型のAIを生かした結果生成に特化している点を強調する。
ことばにおける文脈のように、購買行動の「並び」をリアルタイムで判断し、タイムリーに意図をくみ取る技術にこそ、データドリブン社会が要請するディスカバリー機能の「本来の姿」があるといえよう。
「ダイナミック・イールド」や「インサイダー」、「ブルームリーチ」などの大手ベンダーから、検索に特化する「アルゴリア」/「コベオ」、また商品発見分野を主導する「コンストラクターAI」に至るまで、AIを活用した競争は激化している。
無数の出品があふれる巨大全球市場の中で、静的情報のみに頼った検索や仕組みの更新が、もはや限界に達しているのは明らかだ。